こちらから狙うだけのターゲットではない~【戦略魔法陣:戦略要素「ターゲット(WHO)」の2次進化】

「戦略魔法陣ヘクストラグラム」の2次進化のお話しです。

今回は戦略要素「ターゲット(WHO)」を、さらに2次進化させていくための検討事項を見ていきます。

狙いは

お客のほうからもわが社の商品を選んでもらえる関係を築く

ことです。

目次

戦略要素「WHO」の「1次進化」おさらい

戦略要素「WHO」についての1次進化、詳しくはこちらをご覧ください。

戦略要素「WHO」は「ターゲット」に1次進化

「顧客・市場」に関連する戦略要素「WHO」は、競争していくために狙いを定めた「ターゲット」になります。

顧客や市場の中で、自社として狙うべき相手を他の5つの戦略要素の文脈で検討しました。

「買ってくれる相手が顧客」という考え方だけではダメで、「買って欲しい相手」は誰なのかを明らかにしていく必要があるということです。

戦略要素「ターゲット(WHO)」の2次進化

「戦略魔法陣ヘクストラグラムの『2次進化』」の話に入ります。

2次進化の目的は「優位性」の獲得

1次進化は単に「戦える」「競争できる」というだけでしたが、2次進化では「競争に勝つ」「ライバルに対して優位に立つ」ことを意図した議論を進めます

もちろん「議論する」だけでなく「(議論検討した結果)必要とされる事項を備える」ことが出来てはじめて「2次進化レベルに達した」と言えるので、「出来ていなかったこと」「不足すること」に対処していくプランとその実行が必要になります。

戦略要素「WHO」が「競争に勝てる」ように進化するためには

顧客・市場に関する戦略要素「WHO」は1次進化で「ターゲット」として把握されました。さらに2次進化では勝てるところまでもっていきます。

他の戦略要素との文脈で検討するのは1次進化のときと同じ

ヘクストラグラムでは戦略要素の「進化」のために「各要素を他の要素の文脈で考える」という作業を行います。2次進化でも同じです。

「WHO⇒ターゲット」の次の進化の方向性

「勝てる」「優位に立てる」ようになるためにお客にはどうなって欲しいかというと・・

「(ライバルではなく)わが社を選んでくれる人・会社」になって欲しいわけです。

ということで、戦略要素「WHO⇒ターゲット」の次の2次進化への方向性は「向こうからわが社を選んでくれる顧客になってもらう」というイメージになります。

「ターゲット(WHO)」-「価値(WHAT)」:わが社の提供価値を気にってくれる顧客へ

わが社の商品(を通じた提供価値)を選んでくれる顧客

こちらから「狙う」だけでなく、向こうからも「選んでくれる」そんな関係を構築していきたいですよね?

そのためにターゲット顧客に合わせた価値形成、提供を行っていきますが、それが認められ好まれることによって「顧客側からも選ばれる」ようになります。

「選んでくれる顧客」になってもらうための価値提供

「顧客のほうからわが社の商品を選んでくれる」というのは、マーケティングの「理想」でもあり、そこへ向かうために様々な理論や手法が提起されていて、ここで簡単に説明できるようなものではありません。

ただ、顧客との関係では「選ばれること」は目指す場合に取り組むべき方向性は次のようなものだと考えています。(詳細に解説はまたの機会に)

「選ばれる」ということは「一度買って使ってみて気に入った」ということなので、「何が気に入ってもらえたか」を正しく認識することがまずはスタートで、それを外さないようにしないといけません。

その上で、

  • 「これを選べば間違いない」という安心感
  • 「私だけ」という特別感
  • 「分かってくれている」という信頼感や親近感
  • 「教えてくれる」「導いてくれる」という期待感や依存意識
  • 「応援したくなる」という共感

これらが、コストパフォーマンスの範囲で「価値」に関連して実現されていることが重要なことです。

「まず気に入ってもらう」ことは重要で難しいことですが、そこから「気に入ってもらい続けること」はもっと大事です。

「ターゲット(WHO)」-「戦法(HOW)」:お客を振り向かせて夢中にさせるテクニックに反応してくれる顧客

意中の人に振り向いてもらい好きになってもらうためのテクニック

「価値」のところでもそうでしたが、なんだかここでも‟恋愛”の話みたいですよね(笑)

でも、恋愛と同じことではないでしょうか。こちらが「狙いを定めた=好きになった」顧客に「振り向いてもらう」「気に入ってもらう」ために営業活動やマーケティング活動を行っているわけです。

「気を惹くためのやり方」に反応してくれるお客

まずは気づいて振り向いてくれる客でないと始まらない

まずは「わが社の商品があなた向けにありますよ」ということを知ってもらわなければなりません。

好きな相手に自分のことを気付いてもらうことがまずは大事なのと同じですね。

で、人の片想いの場合と同じく、例えば職場が同じだけ・・のように「単に存在は知っている」というだけではダメなわけです。何か「特別な存在」として認知してもらわないといけません。

そのためのプロモーション活動、営業活動です。

大事なのは、そういったこちらからの働きかけに反応してくれる、気づいて振り向いてくれる客でないと何も起きないということです。

関心がないのか、こちらの働きかけが足りないのか・・前者だったら見切りも必要ですが、何かもっと上手いやりようはないでしょうか。

分かってもらうためにとにかく伝えることが「選んでくれる」につながるのでとにかく頑張る

存在を知ってもらえたら、次は「アナタにとって特別な」ものなんですよ!と分かってもらう必要があります。

そのために、とにかく「わが社の商品(提供価値)の良さ」をアピールします。分かってもらいやすい内容を分かりやすい方法で。何度も何度も。

インパクトも必要でしょう。印象に残らなければダメですから。

時にはグイグイと引き込むようなやり方も(節度の範囲でw)。

買ってもらって、使ってもらったあとが大事

「買ってもらう」ことが目的ではありません。「リピートしてもらうこと」「愛顧してもらうこと」が大事なわけです。

アフターサービス等を活用して顧客とのコンタクトを取り続ける努力が必要なことは言うまでもありません。

「ターゲット(WHO)」-「強み(資源)」:気に入ってもらう理由がわが社の強みに関わっているとよい

強みを気に入ってくれる客は離れにくい

1次進化でわが社の「強み」はある程度把握できています。その「強み」を気に入ってくれる人・会社であればいいお客になってくれそうです。

「強みを気に入ってくる顧客」に関する論点

例えばエリア的なこと

同様のサービスは全国にもそれぞれあるけど、「関西での拠点」を活かして「関西に強い」展開をしていれば、地元関西の顧客には「やっぱりこの会社が一番」と気に入ってもらえているはずです。

ブランド

何か他にはないノウハウやレベルの高い技術でつくられた商品がブランドとして評価されるケースもこれに該当します。

ブランド自体が「価値提供」のようでもありますが、最初から「ブランドをつくろう」としているわけではなく、商品本来の価値提供を例えば「丁寧に」つくっていって、それが評価されてブランドになっていきます。

「丁寧に」つくろうとする企業としての姿勢、それを可能にする技術や人材、蓄積されたノウハウ、よい原材料の調達ネットワーク・・などなど、「リソース(資源)」の強みが活きてこそ成り立っていると考えます。

ネットワークによる展開可能性

特にこれからの商品・サービスは「そのもの」だけで完結するのではなく、他とつながって価値を広げていくものが多くなると思います。

顧客としてはその会社のネットワークの広さによるサービス展開の可能性などにも魅力を感じて選んでくれることもあります。

例えば「世界40か国で使える」とか、その会社のネットワークが活かされていてそれが継続的にお客に選んでもらえる理由になったりするわけです。

「ターゲット(WHO)」-「事業への影響(環境)」:事業環境の変化で深まる顧客との関係性

事業環境変化の影響によってより深いつながりをもつことができる顧客

2次進化の狙いは「勝つこと」「優位に立つこと」です。

「ターゲット(WHO)-事業への影響(環境)」では何を考えるかと言うと、「事業環境の変化が関係を深めることができる顧客」についてです。

「事業環境の影響によって顧客との関係が深まる」についての論点

事業環境の変化が顧客との関係を深める・・って、どんなことがあるでしょうか?

まず思いつくのが「IT/IoT環境」や「SNS」

これも「価値提供」の話に近いかもしれませんが、IT環境/IoT環境は多かれ少なかれあらゆる事業に影響を与えています。

また「SNS」も顧客との関係性に大きな影響を及ぼすケースがありますね。

上手く使えばこれまでになかったような親密な関係をつくりだすことができそうです。

問題への対応の態度が共感を得る

自然環境問題や最近ならSDG'sなど、自社事業への影響がよく分からなくとも社会が関心を向けていたらそれに何らか対応しないといけません。

イヤイヤとかテキトーとかではなく、積極的に対応するなどの姿勢・態度を見せることで共感を得ることがあるかもしれません。

せっかくやってるのに分かってもらえへんので、アピールもせんとアカンよね

「ターゲット(WHO)」-「対抗軸(競合)」:ライバルとの違いを分かった上でわが社の商品を選んでくれる顧客へ

ライバルとは違った客の扱い方をして優位に立つ

そもそもライバル企業とは違ったお客を相手にしてねんごろな対応をしたいところですが、なかなかそうはいきません。市場シェアや顧客の争奪戦を繰り広げているのが普通のことではないでしょうか。

顧客ターゲットがかぶったとして、「ライバルには敵わない」からといって撤退するわけにはいかない場合、対応の仕方で差別化を図る必要があります。

それも「よりお客に気に入ってもらえる」ように。

ライバルより気に入ってもらえるポイントはどこか?

「価値提供」や「営業・マーケティングの方法論」、「強み」「環境変化への対応」など顧客に気に入ってもらって、選んでもらい続けるための取り組みのうち、「ライバルに差を付けられるポイント」はどこかを考えます。

同業同士でそこまで大きな違いが打ち出すのも難しいと思います。自社もライバルもそれぞれ一長一短ある、または似たり寄ったりな状況なのではないでしょうか。

そんな中でも「ライバルとの違い」は常に打ち出していかなければなりません。お客にとって「どっちがいいのか」をハッキリさせないと「選んでもらえる」という関係には至りません。

いくつもの観点で顧客に気に入ってもらう努力をするべきですが、「わが社にアドバンテージがある」ところには特に注力すべきです。

その注力がどれほどの効果がありそうかと併せてしっかり考えてみてください。「顧客面」での戦略のポイントになるはずです。

WHO要素の2次進化

今回の話をまとめてみます。

「ターゲット(WHO)」について5つの文脈での捉え方

戦略要素「ターゲット(WHO)」について、他の戦略要素の文脈で考えたことを整理してみます。

これらが適ってくれば、こちらが狙っているだけの片想いな「ターゲット」ではなくなっているはずです。

戦略要素「ターゲット」からの2次進化

ということで、戦略要素「ターゲット(WHO)」は2次進化して「相愛顧客」になります。

こちらからの‟片想い”ではなく、顧客と‟両想い”の関係が出来上がればかなり優位に立てていると言えます。

そういった顧客を増やしていくことが重要なポイントであることは言うまでもありません。

やっぱ、愛し愛されがええよね