病気が進むと悪循環に陥ってマネジメント不能になり会社は本格的にダメになる~【中企業病】
「中企業病」の因子は「トップのリーダーシップ」にあることは前回説明しました。
強いリーダーシップの下で役員、従業員がトップへの依存を強めることで、個人としても組織としても弱体化してしまうのが発端なのですが、それだけでなく中企業病がさらに重篤化すると、会社は本格的にダメになっていきます。
中企業病が悪化するメカニズム
症状を自覚した頃には病気はずいぶん進行しています
トップのリーダーシップが強いことで、中間マネジメントはじめ組織が虚弱になっていきますが、事業環境は容赦なく変化していきます。そんな中でジリジリと業績が悪化する様子を目の当たりにして、トップも黙っていられません。
商機を逃すな、もっと客に当たれ、経費を抑えよ、若手を指導せよ・・
いろいろと発破がかかります。
なんかだ上手く行かない・・と思い始めたら、実は随分と病気は進行しているかも
現場は弱体化しながらも日々黙々と働いていますが、忙しさが増す中でトップの指示がなかなか消化できません。
ここにきて、遅ればせながら中企業病の症状に気がつきます。
ただ、気づくといっても「なんだか上手く行かない」というふうに表面化した問題すなわち「自覚症状」だけで、この病気の本当の怖さまではなかなか気づくことが出来ません。
あれもこれもと悪いところが目につき始める
事業環境の変化についていけていない、考えて動けていない、チャレンジできていない、現場のマネジメントができていない、指導・育成ができていない・・と、諸々の「症状」だけが目についてくるのです。次から次へと。
追い打ちがかかって病状が進行します。実はその追い打ちは社内からかかる・・つまり自分で首を絞めるようなことになってしまいます。
これではイカンということで、テコ入れのための檄と指示がたくさん飛びます。
容赦なく難題が降りかかります
従来の顧客だけではどうにもならないので「新規顧客の開拓」など、これまで避けてきた難しい仕事も指示されます。イヤイヤながら従ってみてもそう簡単に成果に結びつきません。それによって時間ばかり費やして業務は逼迫していきます。
特に、主戦力である中堅クラス社員に大きな負担がかかり、忙殺されていきます。
忙しさがますます事態を悪化させます
忙しいので、連絡や相談・打ち合わせなどもおろそかになっていきます。
⇒連絡や相談・打ち合わせ不足による相互不理解はスムーズな業務の妨げになり、手間が増えます。
忙しいので、これまで以上に部下の面倒が見られなくなります。
⇒人材が育たないだけでなく、若手には不満が生じ、悪くすれば離職につながります。必要な戦力はいつまでたっても整いません。
悪循環が容赦なくどんどんと進みます
まだまだ悪いことは続きます。
- 業務が増えた上に疲労が蓄積して、判断力も鈍ります。
- 人手も足りないので教育が不十分なままの若手を業務に当たらせざるを得ません。
- そんな状況では、対外的なミスや事故が増加します。
- 顧客の不満や事故は会社の信用を落として商売にも悪影響が出ます。
- リカバリーのためにさらに大きな手間がかかります。
- ミスや事故が増えだすと、これはいよいよマズいとなって、現場管理を強化します。
- あれこれと新たな管理手法を導入し、内部資料も多くなったりします。
- 指導・打ち合わせのためとして会議が増えます。
- 現場マネジメントが分かっていないからと“研修”などの受講を強制します。
- 内向き作業が増えます。商売の時間が減り、生産性が低下します。
- 溢れた作業をこなすために時間外勤務が増えます。
- 人件費が増えます。さらに利益を圧迫します。
- (過剰な残業など、これからは法的にも大きな問題となります。)
- 帰宅後の時間や休日まで返上して、従業員の疲労やストレスがさらに蓄積します。
⇒結果、不満が社内に充満します。
もう、とっても困ったことになってないですか・・
重篤化 ~さらなる悪循環へ陥ります。落ちていきます。
失敗、ミス、事故が増え、利益も上がらない・・
トップは業を煮やします。
「指示したことが出来ていない!」【やる気はあるのか?】と。
現場は一生懸命やっているつもりなのでこう思います。
「そんないろいろ言われても無理!」【ちゃんと現場の状況が分かっているのか?】と。
不信と不満が渦巻く「修羅場的」病状
不満、相互不信、無力感(言っても無駄だ・・)が社内に渦巻いてしまいます。
コミュニケーションは完全に停滞し、忙しさも限界を超えて、もうただひたすら目の前の業務を黙々とこなしていくばかり・・・
さらなる悪循環が待ち受けています。
こうなってしまうと中企業病はかなり重篤です。ほとんど「修羅場」と言ってもいい状況です。
大げさではなく、私が実際に見た最悪のケースではこんな風でした。
確かにこれは末期的やな
さすがに貴社の場合はここまでひどくはない・・でしょうか?
話は続きます。