事業環境の変化そのものよりわが社にもたらす影響が問題~【戦略魔法陣:戦略要素「環境」1次進化】

今回は戦略要素「環境」のお話です。

この戦略要素は「事業環境の変化」について考えます。

戦略要素は他の要素との文脈で解いていくことで「進化」していきます。

戦略要素「環境」はどう進化するでしょうか。

目次

「事業環境」についてじっくり考えてみる

戦略要素「環境」について、他の5つの戦略要素との文脈で考えてみましょう。

環境-WHAT:「商品」の文脈で「事業環境」を考える

商品の文脈で「事業環境」について考えます。

商品に影響を与える事業環境変化

どんな事業環境が商品に影響を及ぼしているかについて考えます。

長い目で見た変化、最近の急激な変化、いろいろあると思います。

「環境-WHAT」はこう考える!

「環境-WHAT(商品の文脈で事業環境を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【環境-WHAT】

商品に影響を与えているのは(こんな)事業環境

「環境-WHAT」の主な論点「商品に影響する事業環境」について

技術の進歩

様々な技術の進歩が商品の性能や価格に影響をもたらします。

商品の概念自体をガラっと変えてしまうようなこともあり得ます。

そういった環境変化に乗れたらチャンス、乗り損ねたらピンチになります。

社会的(政治的)な要請による変化

「安全基準」や「環境基準」など、以前は気にしなくてよかったことが当然のように求められるようになり、それらにいち早く対応できているのか遅れているのかによって、競争力に影響したり、やるべきことの優先順位も変わってきたりします。

環境-WHO:「客や市場」の文脈で「事業環境」を考える

客・市場の文脈で「事業環境」について考えます。

客や市場への環境変化の影響

客や市場に影響を与える環境変化もあります。

嗜好や行動に影響を与えます。

「環境-WHO」はこう考える!

「環境-WHO(客・市場の文脈で事業環境の変化を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【環境-WHO】

客や市場に影響を与えているのは(こんな)事業環境

「環境-WHO」の主な論点「客・市場に影響を与える事業環境」について

客の嗜好の変化

時代とともに・・とかのロングスパンでなくとも、客の好みは変わってきます。

「流行り」のレベルで頻繁に変わるものや、何かの環境影響である時から急に変わるもの、いろいろあると思います。

客の購買方法(購買行動)の変化

「買い方」も環境に応じて変わります。

購入ルートが増えたり、情報収集のチャネルが増えたり・・主にインターネット環境やインターフェースの進化によって起こっていることが多いですが、例えば新型コロナによる生活様式の変化など、そのきっかけはテクノロジーとは別のところにあったりします。

環境-HOW:「売り方」の文脈で「事業環境の変化」を考える

売り方の文脈で「事業環境」について考えます。

売り方に影響を与える環境変化

流通経路や営業・マーケティングの手法などについても事業環境の変化の影響を受けます。

「環境-HOW」はこう考える!

「環境-HOW(売り方の文脈で事業環境の変化を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【環境-WHO】

営業やマーケティングの手法に影響を与えているのは(こんな)事業環境

「環境-HOW」の主な論点「売り方に影響を与える環境変化」について

流通構造の変化

「メーカー ⇒ 卸(1次、2次) ⇒ 小売 ⇒ 消費者」という従来からある流通構造が、事業環境に伴う各プレーヤーの動向によって変化しています。

プロモーションチャネルの変化

従来型マスメディアを通じた広告という手法以外にも様々なプロモーションのチャネルが発生しています。

コストと効果を考えて活用していく必要があります。

環境-資源:「リソース」の文脈で「事業環境」を考える

リソースの文脈で「事業環境」について考えます。

リソースに影響を及ぼす事業環境変化って?

事業環境の変化の影響はリソース(経営資源)も受けます。

その影響を受けたリソースをどうしていくかも大事な話になります。

「環境-資源」はこう考える!

「環境-資源(リソースの文脈で事業環境を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【環境-資源】

会社のリソースに影響を与えているのは(こんな)事業環境

「環境-資源」の主な論点「リソースに影響する環境変化」について

人的リソースに対して影響する環境変化

昔と違って、従業員の扱い方にも留意が必要です。

「ナントカハラスメント」など、企業としては「面倒な」ことも多くなっていますが、これを「面倒」と考えている時点でダメなのかもしれません。

そのあたりの思考が旧態依然としていると、良質な人材の確保もままならなくなってしまいます。

また、業種によっては外国人の採用も増えてきています。これまでとは全く違った注意が求められます。

無形リソースの可能性に着目

目には見えない無形リソース、ノウハウやネットワーク、ブランド・・これらはますます重要になってくるとともに、事業環境により影響を受けやすいリソースであると言えます。

こういった変化を捉えて上手に使いこなす・・大事ですね。

環境-競合:「ライバル」の文脈で「事業環境」を考える

「ライバル」の文脈で「事業環境」について考えます。

ライバルに影響を及ぼしている環境変化

事業環境の変化はわが社にだけ影響するわけではありません。

ライバルにも影響しています。

ライバルに大きく影響している変化はどんなものでしょうか

「環境-競合」はこう考える!

「環境-競合(事業環境の文脈でライバル動向を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【環境-競合】

ライバルの動向に影響を与えているのは(こんな)事業環境

「環境-競合」の主な論点「ライバルに影響する事業環境」について

同じように影響しているはずなのに、なんだかあっちのほうがいいカンジ

同業ならば似たような影響を受けることになりますが、ライバルに特に有利になっていることってないでしょうか。

マイナスな環境変化なら、ライバルへの悪影響がウチよりも軽いような点も。

なんでそうなった?

ライバルに有利となっているのはなぜでしょうか。

やり方や狙いのちょっとした違いでそうなっているなら要分析です。

悪い方はどうする?

ライバルがウチより悪い方向へより大きな影響を受けている場合はどうしましょうか。

「ざまぁ・・」と内心ほくそ笑んで、今のうちに差を詰めたりリードを広げたり。同じ轍を踏まないように気を付けるとか・・ですね。

「環境」について5つの文脈で考えたことを整理してみましょう

戦略要素「環境」について、5つの他の戦略要素の文脈で考えたことを整理してみます。

5つの文脈はこんなカンジでした。これは分かりやすかったですかね。

  • 環境-WHAT:商品に影響を与えているのは(こんな)事業環境
  • 環境-WHO:客や市場に影響を与えているのは(こんな)事業環境
  • 環境-HOW:営業やマーケティングの手法に影響を与えているのは(こんな)事業環境
  • 環境-資源:会社のリソースに影響を与えているのは(こんな)事業環境
  • 環境-競合:ライバルの動向に影響を与えているのは(こんな)事業環境

どうでしょう。全て言えましたか?

ポイントになりそうなことを整理してみます

事業環境は絶えず変化しています。

その変化が「わが社の事業にどう影響するか」を認識できてはじめて対処ができます。

なんだか大変そうだけど影響がよく分からない・・それでは、手の打ちようもないですよね。

「環境」の1次進化

戦略要素「環境」が1次進化するには、ちゃんと「わが社への影響」を認識すればよいわけです。

戦略要素「環境」は戦略要素「事業への影響」に1次進化します

それはいい影響?悪い影響?

変化する事業環境の中には、「いい」ものも「悪い」ものもあります。

SWOT分析などでは、「機会と脅威」とも言われます。

「よい環境変化を捉えて乗って、困った環境変化を何とかしのぐ」ことが大事です。

ただ、「災い転じて福となす」でもないですが、一見「困った」ことでもやりようによって状況がいいほうに向かうこともあります。

「ピンチをチャンスに」とか簡単に言いますが、まあ大変なことだと思います。

それが成功するのはたいがい「ピンチに関係することを思い切って捨てる」ことができた時です。

実はそれが「戦略」の肝だったりもしますね。

最後にとっても重要なポイントが出てきた気が・・

そのあたりの話はまたこんど。

次は戦略要素「競合」です。