ライバルに対する競争優位性を確たるものにする【戦略魔法陣:戦略要素「対抗軸(競合)」の2次進化】

「戦略魔法陣ヘクストラグラム」の2次進化のお話しです。

今回は戦略要素「対抗軸(競合)」を、さらに2次進化させていくための検討事項を見ていきます。

狙いは

アドバンテージを見出して競争を優位に進められるようになる

ことです。

目次

戦略要素「競合」の「1次進化」おさらい

戦略要素「競合」についての1次進化、詳しくはこちらをご覧ください。

戦略要素「競合」は「対抗軸」に1次進化

戦略要素「競合」は、ライバルの動向を把握して「どこはウチが強くて、どこがライバルのほうが強いのか」ということを捉えることが出来て「対抗軸」に1次進化します。

ライバル企業との比較で「わが社はここで勝負するのがいい」というポイントを明らかにすることで競争の土俵に上がります。

戦略要素「事業への影響(環境)」の2次進化

「戦略魔法陣ヘクストラグラムの『2次進化』」の話に入ります。

2次進化の目的は「優位性」の獲得

1次進化は単に「戦える」「競争できる」というだけでしたが、2次進化では「競争に勝つ」ことを意図した議論を進めます

もちろん「議論する」だけでなく「(議論検討した結果)必要とされる事項を備える」ことが出来てはじめて「2次進化レベルに達した」と言えるので、「出来ていなかったこと」「不足すること」に対処していくプランとその実行が必要になります。

戦略要素「競合」の捉え方をどのように進化させるか

ライバルの状況・動向に関する戦略要素「競合」は1次進化で「対抗軸」として把握しましたが、2次進化では対抗するだけでなく、ライバルとの位置関係を有利にすることを考えていきます。

どういった検討をするのかを個々に見ていきましょう!

他の戦略要素との文脈で検討するのは1次進化のときと同じ

ヘクストラグラムでは戦略要素の「進化」のために「各要素を他の要素の文脈で考える」という作業を行います。2次進化でも同じです。

ただ、それぞれ1次進化済みの戦略要素で考えるので、より明快に具体的になっているはずです。

「競合→対抗軸」の次の進化の方向性は?

戦略要素「競合」が進化するからといって、ライバル企業を進化させるわけではありません。

戦略要素としての捉え方を進展させていくということです。

1次進化では「わが社がライバル会社に『対抗できる』ところ」を考えましたが、2次進化ではさらに踏み込んで「有利、優勢」に競争を進めることができる軸を探していきます。

「対抗軸(競合)」-「価値(WHAT)」:価値提供についてライバルより優位な点は?

わが社の価値提供がライバルに勝るところ

ここは素直に「ライバルより優れたところ」という見方をします。

その優れたポイントを前面に打ち出して商品展開していくのが当然です。

一過性のものではなく、価値提供について継続的に優位に立てること、容易に真似されにくいのはどんなことでしょうか。

わが社の「価値提供」を優位にしているポイントは?

「商品」と見るだけでなく「価値提供」全般について「ライバルより優れている」点について考えてみます。

例えば、同じ製品でも「早く」届けられるなら価値提供として優れていると言えます。

顧客に評価されて競争優位のポイントとして機能しているか、および今後もそれが維持できるかを考えます。

「対抗軸(競合)」-「ターゲット(WHO)」:客や市場に関連してライバルより優位な点は?

ターゲット顧客についてライバルより優位に立てていること

「ターゲット顧客」の進化の方向性は「相愛顧客」つまり「顧客側からもわが社の商品や会社自体をもっと好きになってもらう」ことを目指します。

そもそもライバル企業と「ターゲット」がかぶらないのが理想です。あえて激しい競争を回避するために「ライバルが狙わなさそう」な顧客をターゲットにする・・ということも無くはないでしょう。

まあでも、ウチが狙いたい顧客はライバルも狙っていると考えるのが普通ですよね。

そんなターゲット顧客に対して、わが社が優位に立てていることってなんでしょうか?

ターゲット顧客との関わりについて有利なポイントは?

ライバルとターゲットがかぶっている中で、わが社も一定の実績を上げているということは、何かウチにも光るものがあるはずです。

「信頼」や「好感」のベースになっているもの

顧客に「選んでもらえている」その理由として「信頼」や「好感」といった「ブランド」とも言える何かが働いているとするなら、そのベースになっているものは何かを掴んでおくことが大事です。

それが当面の顧客面におけるアドバンテージであり、それを軸に顧客との関係性を深めていく取り組みを進めていくことになります。

範囲を限定して、深く濃い関係性を築いていくのもやり方

幅広くは難しくても、例えば「コアなファン層」に限定して特に丁寧な対応をして‟どっぷり”と関係性を深めるという手もあります。

そういった対象についてはライバルの追随を許さない圧倒的な関係性が築けます。

それを起点にして方法論を確立して、徐々に範囲を広げるなどの打ち手を考えることもできるかもしれません。

「対抗軸(競合)」-「戦法(HOW)」:営業面でライバルより有利なやり方を持っているか?

営業面で有利な何か・・せめぎ合いの中でそんなのがある?

営業の局面はライバルと日々せめぎ合っているのでなかなか難しい気がしますが、「ライバルより有利」で「それが継続できる」ような何かがあればそれは大事にしたいですね。

営業面で流通やサプライチェーンでのアドバンテージを築けるか

新しいルートを開拓しても真似される

営業面で有利に進めようと、新しいルートを開拓するなど日々頑張るわけですが、仮に上手くいってもそういう努力が報われるのは短期的なことで、本当にオイシイやり方であればすぐに模倣され追随されてしまいます。

そういった追随や模倣に晒されない、特殊な事情で優位性が保たれるような「何か」があるでしょうか?難しそうですが、もしあるなら維持したいポイントです。

サービス業態だったらいろいろあるかも

物的な商品があって、流通経路が確立されているような事業では「ライバルから抜きん出る」のはなかなかに難しそうです。

サービス業、特に新興の業界だったら「型」が定まっていないからまだまだアドバンテージを維持できるかもしれません。

「対抗軸(競合)」-「強み(資源)」:リソース上のアドバンテージ

経営リソースがライバルに勝るところはどこ?

企業の競争を考えると、リソースは持ってるだけじゃ優位性にはなりません。「持てるもの」なら「持たれたら」終わりなんで。

「競争を優位に進めることが出来る経営リソース上のアドバンテージ」についての論点

有形のリソースの場合は、ライバルに同様のものを入手されたらアドバンテージは無くなってしまいます。

長年かけて培ってきた、築いてきた

ということで、手に入れるのに「相応に長い期間が必要」なものがアドバンテージとして効いてきます。

技術やノウハウとか、組織力とか、ブランド力とか、そういうものだと思います。

ただ、これらとてメンテナンスを怠ると一気に力を失うことがありますし、「人依存」であればその人(たち)がいなくなったり、最悪の場合ライバルに引き抜かれたりすることもあり得ます。

そうならないために「組織として」アドバンテージを維持する仕組みをつくることが大事になってきます。

「対抗軸(競合)」-「事業への影響(環境)」:ライバルとの位置関係の変化

事業環境が変わってきてライバルとの位置関係に影響は?

事業環境の変化はライバルとの相対的な力関係、位置関係にも影響を及ぼします。

わが社にとって都合のいい方向もあれば悪い方向もあるでしょう。

その環境の変化がライバルとの位置関係を変える

同業界内の企業であれば、マクロ的な事業環境の変化の影響は同じベクトルのはず(ウチにとって良ければライバルにもよい、逆もしかり)ですが、得意な領域や規模、その他諸々の違いで影響の出方が異なります。

良い影響がウチにとってより大きく出るなら、ここはひとつカサに掛かってアドバンテージを拡げたいところです。

仮に業界にとって悪い影響であっても、ライバルのダメージが大きくウチは比較的軽く済むという場合も同じです。この機に乗じてライバルを蹴落としにかかります。

「対抗軸(競合)」要素の2次進化

今回の話をまとめてみます。

「対抗軸(競合)」について5つの文脈での捉え方

戦略要素「対抗軸(競合)」について、他の戦略要素の文脈で考えたことを整理してみます。

これらのうち、どれか大きくアドバンテージがあるなら、それを中心に戦略を組み立てるなどして競争を優位に進めます。

戦略要素「対抗軸(競合)」からの2次進化

ということで、戦略要素「対抗軸(競合)」は2次進化して「勝算」になります。

それぞれの観点でライバルに対してどんなアドバンテージがあるかを考えてみました。

単に、「今、瞬間的にウチのほうが勝っている」というだけでなく、しばらくは維持できるようなアドバンテージでないと今後の事業展開に活かせません。

使えるアドバンテージは多い方がよいですが、検討した5つの要素全てで見出せるものでもありません。

何か1つ2つでも「ウチにはコレがあるから勝てる!」という何かが欲しいところです。それを「勝算」として最大限活用するような戦略を考えていきます。