狙うべき優良顧客は誰だ?マーケティング思考は戦略の重要な軸となる~【戦略魔法陣:戦略要素「WHO」の1次進化】
今回は「誰に」対してビジネスするか・・「お客」について考えます。
戦略要素「WHO」のお話しです。
戦略要素は他の要素との文脈で解いていくことで「進化」していきます。
「WHO」はどう進化するでしょうか。
- 1. 「WHO(客・市場)」についてじっくり考えてみる
- 1.1. WHO-WHAT:「商品」の文脈で「客や市場」を考える
- 1.1.1. 「ウチの商品を求める客」は誰?
- 1.1.2. 「WHO-WHAT」はこう考える!
- 1.1.3. 「WHO-WHAT」の主な論点「ウチの商品を求めてくれる」ということについて
- 1.1.3.1. もっとお客を増やしたいと思うでしょ?
- 1.1.3.2. 取り漏らしている客を探せ!
- 1.2. WHO-HOW:「売り方」の文脈で「客や市場」を考える
- 1.2.1. 「売りやすい」ではなく「儲かりやすい」がポイント
- 1.2.2. 「WHO-HOW」はこう考える!
- 1.2.3. 「WHO-HOW」の主な論点「儲かりやすい客」についていくつか
- 1.2.3.1. カネが取れる客を相手にしたい!
- 1.2.3.2. だけじゃなくて、やっぱり手間のかからない客がいい
- 1.2.3.3. 客はこっちで「選別」するもの
- 1.3. WHO-資源:「自社リソース」の文脈で「客や市場」を考える
- 1.3.1. 自社リソースで対応可能な客は誰?
- 1.3.2. 「WHO-資源」はこう考える!
- 1.3.3. 「WHO-資源」の主な論点「リソースが活かせる客・市場」についていくつか
- 1.3.3.1. そのお客はアプローチできる?
- 1.3.3.2. そんなに相手できるのか?
- 1.4. WHO-環境:「環境変化」の文脈で「客や市場」を考える
- 1.4.1. 環境変化は客も変える
- 1.4.2. 「WHO-環境」はこう考える!
- 1.4.3. 「WHO-環境」の主な論点「環境変化で変わる客・市場」についていくつか
- 1.4.3.1. 新たに客にできる可能性は取り逃がしたくない
- 1.4.3.2. もちろんいなくなる客もあるかも・・
- 1.5. WHO-競合:「ライバル」の文脈で「客や市場」を考える
- 1.5.1. ライバルより上手くやれるかどうか
- 1.5.2. 「WHO-競合」はこう考える!
- 1.5.3. 「WHO-競合」の主な論点「ライバルより上手くやれる客・市場」についていくつか
- 1.5.3.1. ホントはライバルと狙いが重複しないのがいい
- 1.5.3.1.1. ブルーオーシャン
- 1.5.3.1.2. ニッチマーケット
- 1.6. 「WHO」について5つの文脈で考えたことを整理してみましょう
- 1.6.1. ポイントになりそうなことを整理してみます
- 2. 「WHO」の1次進化
- 2.1.1. 狙う体制は出来ていますか?
「WHO(客・市場)」についてじっくり考えてみる
「客・市場」に関する戦略要素「WHO」について、他の5つの戦略要素との文脈で考えてみましょう。
WHO-WHAT:「商品」の文脈で「客や市場」を考える
商品の文脈で「WHO(客・市場)」について考えます。
「ウチの商品を求める客」は誰?
「どんなお客?」を「WHAT(商品)」の文脈で素直に表すと「ウチの商品を求める客」ということになりますが、どういう意味でしょうか。
ウチの商品を求めてへんならそもそも「お客」とは言わんのでは?
「まだ」求めていないけど、いずれ求めるようになるはずの「潜在的な客」も含めて考えます。
「WHO-WHAT」はこう考える!
「WHO-WHAT(商品の文脈で客・市場を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。
【WHAT-WHO】
わが社の商品を求めてくれるのは(こんな)客・市場
である。
「WHO-WHAT」の主な論点「ウチの商品を求めてくれる」ということについて
もっとお客を増やしたいと思うでしょ?
今現在、ウチの商品を求めている(買ってくれている)客だけで満足しているでしょうか。
もっと広く、もっとたくさんの人に使ってもらいたい、買ってもらいたいと思いませんか?
そう思えるなら、「商品自体には、もっとたくさんの客に求められるだけの実力があるのに、それが行き渡っていない」のかもしれません。
取り漏らしている客を探せ!
お客の数に応じて利益が今の水準にあると思いますが、利益がまだ少ないと感じるなら、ホントはウチの商品を買ってくれて、お客になるはずの人(または企業)を取り漏らしているのかもしれません。
「ウチの商品の便益を求めている人(企業)」はもっと多いはず・・と思うなら、そこへ向けてアプローチすべきです。
取り漏らしているお客は「どこに」いて、「なぜまだ買っていない」のかから考えていきます。
WHO-HOW:「売り方」の文脈で「客や市場」を考える
売り方の文脈で「WHO(客・市場)」について考えます。
「売りやすい」ではなく「儲かりやすい」がポイント
「HOW」では売り方つまり営業やマーケティングに関連する文脈で考えます。
素直に考えると「売りやすい客・市場」となりますが、単に売るだけでなく「利益を上げる」ことが目的ですからここは「儲かりやすい客・市場」と考えるべきですね。
「WHO-HOW」はこう考える!
「WHO-HOW(売り方の文脈で客・市場を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。
【WHO-HOW】
儲かりやすいのは(こんな)客・市場
である。
「WHO-HOW」の主な論点「儲かりやすい客」についていくつか
カネが取れる客を相手にしたい!
同じ労力でも「たくさん買ってくれる、利益が上がる客」がいいわけです。平たく言うと「カネの取れる客」です。
「客単価が高い」とか「リピートしてくれる」とか、いわゆる「上客」ですね。
だけじゃなくて、やっぱり手間のかからない客がいい
たくさん買ってくれる、リピートしてくれる客でも、価格にシビアで値切りまくってくるとか、やたら手間がかかって経費の面でカネがかかるような客は、結局利益をあまりもたらしてくれませんので、「いいお客」とは言えません。
高く買ってくれて文句言わない、そんな手間のかからないお客がいいわけです。
客はこっちで「選別」するもの
会社にとっての「いいお客」ばかりを相手にしたいところです。「いいお客」を選んで丁寧に対応し、いわゆる「タチの悪い客」は相手にせずに済むというのが理想です。
「買ってくれる相手」を全て「客」と捉える必要もありません。例えば、クレーム対応にコストがかかって利益が小さくなってしまうようなら、「こちらが求める客」ではないと割り切ってしまうことも考えます。
クレーマーとかモンスターカスタマーとか、相手にしたくない
WHO-資源:「自社リソース」の文脈で「客や市場」を考える
自社リソースの文脈で「WHO(客・市場)」について考えます。
自社リソースで対応可能な客は誰?
客や市場を「資源(会社のリソース)」の面から云々することもあまりないのかもしれませんが、例えばこんなケースはどうでしょう。
「わが社はジャカルタに生産拠点を持っている」ということで、それを足掛かりに営業拠点も置いて東南アジア市場へのアプローチが可能になったり・・とかありそうですよね。
「WHO-資源」はこう考える!
「WHO-資源(自社リソースの文脈で客・市場を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。
【WHO-資源】
自社リソースを活かしてアプローチできるのは(こんな)客・市場
である。
「自社リソースが不足しているからアプローチできていない客・市場(をこれから狙う)」と、逆の見方のほうが大事かもしれません。
「WHO-資源」の主な論点「リソースが活かせる客・市場」についていくつか
そのお客はアプローチできる?
インターネットで販売できる時代とは言え、営業拠点のない地域や国の客はほとんど相手に出来ない・・というように、逆に自社リソースが制約となる場合があります。
そんなに相手できるのか?
営業人員から見てキャパオーバーになるほどの客は抱えきれません。その他、生産体制も数的・質的な制約となります。いくらお客を増やしたくても「つくれない、売れない」ではそれも叶いません。
つまり、潜在的な客候補がいたとしても、相手に出来なければ客にはできません。
狙いたいのにリソースがないから狙えない・・だったら、そのためのリソースを確保するのが先決事項ということになります。
WHO-環境:「環境変化」の文脈で「客や市場」を考える
環境変化の文脈で「WHO(客・市場)」について考えます。
環境変化は客も変える
これまでの主な客層とは異なり、新たな客層が台頭してくるケースなどあると思います。
ほぼ日本人だったものが外国人の客が増えた・・など。
新たな客が増える一方で、従来の客の数が減ったりすることもあるかもしれません。
「WHO-環境」はこう考える!
「WHO-環境(事業環境変化の文脈で客・市場を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。
【WHO-環境】
環境変化の影響で状況が変わるのは(こんな)客・市場
である。
「WHO-環境」の主な論点「環境変化で変わる客・市場」についていくつか
新たに客にできる可能性は取り逃がしたくない
ネット通販や越境ECの基盤が整備されることで、日本全国、世界中の客を相手に出来る可能性も広がりました。
また、規制緩和などによって、これまで相手に出来なかった対象も客に出来る・・といったこともあります。
当然、従来とは異なる客を相手にすることになるので、今まで通りのやり方ではダメです。
かといって、あちらもこちらもとは対応できないかもしれないので、注力する相手を考えないといけません。
移り変わりを見極めた上で誰にフォーカスしていくかが大事なわけですね。
もちろんいなくなる客もあるかも・・
逆もまた然りで、これまでお客だったのに徐々にあるいは忽然と消えてしまうことがあるかもしれません。
その変化が事業の根幹に関わるようなことだとしたら、そうなる前に備えておかなければいけませんが・・
出来てます?
WHO-競合:「ライバル」の文脈で「客や市場」を考える
「ライバル」の文脈で「WHO(客・市場)」について考えます。
ライバルより上手くやれるかどうか
競合他社がいる以上、お客や市場の奪い合いになることは避けられません。
そんな中でも「ライバルよりも上手くやれる」何かがあるなら大事にすべきですよね。
「WHO-競合」はこう考える!
「WHO-競合(ライバルの文脈で客・市場を考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。
【WHO-競合】
ライバルより上手くやれるのは(こんな)客・市場
である。
「WHO-競合」の主な論点「ライバルより上手くやれる客・市場」についていくつか
ホントはライバルと狙いが重複しないのがいい
一番よいのは、ライバル企業と狙いが重複しない客を相手にすることです。
競合が皆無・・とは言わないまでも、「ほとんど独壇場」として振舞える市場(セグメント)があれば上々です。
ブルーオーシャン
「ブルーオーシャン」と言われる未開拓市場もそうですが、まあ、おいしい市場ならいずれ他社の参入があるでしょう。
でも、それまでの間はしっかりと稼ぎたいです。
ニッチマーケット
狭い範囲、特殊な範囲であれば可能なことではあります。
大手が狙わないような、大手では採算が取れないがウチなら対応できる・・というような市場です。
「棲み分け」とも言われますね。
「WHO」について5つの文脈で考えたことを整理してみましょう
戦略要素「WHO」について、5つの他の戦略要素の文脈で考えたことを整理してみます。
5つの文脈はこんなカンジでした。
- WHO-WHAT:わが社の商品を求めてくれるのは(こんな)客・市場
- WHO-HOW:儲かりやすいのは(こんな)客・市場
- WHO-資源:自社リソースを活かしてアプローチできるのは(こんな)客・市場
- WHO-環境:環境変化の影響で状況が変わるのは(こんな)客・市場
- WHO-競合:ライバルより上手くやれるのは(こんな)客・市場
どうでしょう。全て言えましたか?
ポイントになりそうなことを整理してみます
5つの文脈から「WHO」のポイントになりそうなことを整理してみます。
- 「十分性」はどう?ウチの商品を気に入ってくれているお客は今の数で十分なのか?まだまだ取り漏れていないか?
- いいお客は誰か?お客の「良質性」を求める。
- ウチのリソースでアプローチできるか?「対応可能性」
- 環境の変化によるお客の「推移」で狙うべきは何か
- ライバルと競合しても「勝ち取れる」かどうか
いろんな見方が出来ます。これらを勘案して「客や市場」の「狙い」を定めることが戦略的に大事になります。
「WHO」の1次進化
では、戦略要素「WHO」が1次進化するとどうなるでしょう。
「狙い」とか言っているので分かりますよね。
戦略要素「WHO」は戦略要素「ターゲット」に1次進化します。
狙う体制は出来ていますか?
漫然と「買ってくれるから売る」というのではなく、明確に「狙い」を定めて、その人、その市場に買ってもらえるように様々な取り組みを行っていくことが戦略上大事なことになります。
5つの文脈から「なぜその客、その市場を狙うのか」がハッキリしたら、体制を整えて攻略していきましょう!
次は、戦略要素「HOW]についてですね!