わが社の経営資源のアドバンテージは何だ?‟強み”を見出す~【戦略魔法陣:戦略要素「資源」の1次進化】

今回は戦略要素「資源」のお話です。

この戦略要素は「活用できるリソース(経営資源)」について考えますが、ヒト・モノ・カネだけではなく、技術やノウハウといった無形のものさらには自社の所有でなくとも活用できる外部のネットワークなども広く捉えていきます。

戦略要素は他の要素との文脈で解いていくことで「進化」していきます。

戦略要素「資源」はどう進化するでしょうか。

目次

「資源(経営リソース)」についてじっくり考えてみる

「リソース」に関する戦略要素「資源」について、他の5つの戦略要素との文脈で考えてみましょう。

資源-WHAT:「商品」の文脈で「リソース」を考える

商品の文脈で「資源(リソース)」について考えます。

主に「つくる」ことについて効いているリソースは何?

「商品やサービスを生産することに効くリソース」というふうに考えてみます

何か商品面で価値を高めたり効率的に(安価に)生産できるような設備、技術、ノウハウなどがあるでしょうか。

そういったリソースを強化・増強するもよし、もっと上手く活用するもよしです。リソース自体の充実も十分「戦略的」な行動になります。

「資源-WHAT」はこう考える!

「資源-WHAT(商品の文脈でリソースを考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【資源-WHAT】

商品の価値を高めたり効率的な生産を可能にするのは(こんな)リソース

である。

「資源-WHAT」の主な論点「安くいいものをつくれるリソース」について

安くつくれることに効いているリソース

モノやサービスを生産するにおいて「安くつくれる」ことは大事です。その商品を専門につくるわけですから「効率性」は基本です。

他の企業と同等以上に安くつくれるのは、自社のどんなリソースによるところが大きいのか・・、大規模に設備を回して「規模の経済性」が働いているのか、効率性についての技術力が活きているのか、安価な人件費によって実現しているのか・・有効に効いているポイントを明らかにします。

たくさんつくれるリソース

数量的に多くつくれるというのは、規模が大きいからですが、ただ、規模だけでなく例えば「標準化」の工夫があるなど、ノウハウがそれを可能にしているケースもあると思います。

独自のものがつくれるリソース

独自性の高い商品がつくれるとしたらそれは、ハードの面では、例えば特許になるような特殊な技術を持っているとか、特別な原材料の入手ルートを持っているとか、何か生産についてのリソース上の特長が考えられます。

ハード的には普通レベルでもソフトの面で、例えば有能な開発チームを持っていたりすればそれもリソースの特長として効いています。単に「ヒト」依存ではなく組織的なシステムでそうなっていることもあります。

資源-WHO:「客や市場」の文脈で「リソース」を考える

客・市場の文脈で「資源(リソース)」について考えます。

お客や市場へアクセスできるような

客や市場にアクセスするためには、それに合わせたリソースが必要になります。

例えば、外国人の客を相手にしようとしたら、外国語が使える従業員が要ります。

ある市場とコンタクトをとるにはルートの確保のための営業リソースが必要でしょうし、外部ネットワークも有効に活用できるかもしれません。

「資源-WHO」はこう考える!

「資源-WHO(客・市場の文脈でリソースを考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【資源-WHO】

客や市場にアクセスするために有効に機能するのは(こんな)リソース

である。

「資源-WHO」の主な論点「客・市場へのアクセスのためのリソース」について

エリア的に市場をカバーするリソースが必要

ネット通販でどこの客にでも売れる時代ですが、人的サービスを伴うような商品だと営業拠点やルートも全くないエリアの客は相手に出来ませんので、組織体制含めてリソースが市場範囲の規定要因になります。

攻めたいんだったら、必要なだけリソースを整えないといけませんが、何も「自前」である必要もないです。外部ネットワークを上手く活用するなど出来ればOKかもしれません。

客を上手に相手にする能力も大切

単純に一定数の客を相手にするなら、相応のリソースが必要になります。対応する人員とか店舗スペースとか。

ハードだけでなくソフト面でも考えます。外国人客を相手にするなら外国語が使える人材リソースが必要です。

たとえ日本人の客であっても一定の「コミュニケーション能力」は必要です。

これは、単に「話せる」というだけでなく、相手が求めていることを理解したり、それに対する適切な提案をしたりする能力が求められるということです。

対面した対話でないケースもあります。市場のたくさんの消費者がどう思っているかなどを察知するような、いわゆる「マーケティングリサーチ能力」のようなものも、それに長けているなら立派な「客へのアクセスのために使えるリソース」になります。

資源-HOW:「売り方」の文脈で「リソース」を考える

売り方の文脈で「資源(リソース)」について考えます。

「売り上手」なリソース

営業やマーケティング、いわゆる「売り方」が上手くできるようなリソース・・ってどんなものでしょうか。

例えば、提案力のある営業スタッフとか、充実したマーケティングチームの存在なんかがそれに当たります。

「資源-HOW」はこう考える!

「資源-HOW(売り方の文脈でリソースを考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【HOW-資源】

上手い「売り方」を可能にしているのは(こんな)リソース

である。

「資源-HOW」の主な論点「上手い売り方を可能にするリソース」について

営業やマーケティングの優秀さ

営業とかいくら上手いやり方を考えたとしても、それを実践できる人材がいないと話になりません。

人材が優秀であれば、いちいちやり方を指示しなくても自発的に上手いやり方を開発して実行していくはずです。

ただ、個人の能力に依存してしまうと「その人がいる、いない」の話になってしまうので、ここでは「組織やチームとしてのノウハウ」として考えます。

これまでに培われた「組織としての営業ノウハウやマーケティングの手法」といったものが効いているという状況・・けっこうあるはずです。どの会社にも「わが社独自のやり方」ってやつが。

何かありますよね?

資源-環境:「環境変化」の文脈で「リソース」を考える

環境変化の文脈で「資源(リソース)」について考えます。

「環境変化の影響を受けるリソース」って何?

リソースつまり経営資源は、人材にせよ設備にせよ、そう簡単に入れ替えることはできません。

となると、「環境変化に応じて適宜更新する」ことは難しいとも言えます。

環境変化が良いほうに影響することもありますが、多くの場合は「悪いほう」に影響してしまいます。簡単に言うと「古臭く」なってしまいます。

「資源-環境」はこう考える!

「資源-環境(事業環境変化の文脈でリソースを考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【資源-環境】

環境変化に適応しているのは(こんな)リソース(よいほう)

環境変化に適応できていないのは(こんな)リソース(悪いほう)

である。

「資源-環境」の主な論点「リソースの環境変化適応」について

良いほうの環境影響

環境変化の影響を見越して「先見の明」で確保したリソースが効いてきたとかならカッコイイのですが、たまたま「ラッキー」で良いほうに転がることもあります。

ある分野への先行投資などは、読みが当たればライバルが追い付くまでの間は先行者利得をゲットできますね。

悪いほうの環境影響

例えば「労働」について昨今では「労働時間」や「労働災害に対する雇用者の責任」とかいろいろ厳しくなっています。「セクハラ」「パワハラ」等、気を付けないといけないことも増えてきました。

「人材」というリソースの扱い方も大きく変わってきています。

海外の拠点について「カントリーリスク」も高まっています。昨今は近隣アジア、韓国や中国でもいろいろと難しい問題が起こっています。

資源-競合:「ライバル」の文脈で「リソース」を考える

「ライバル」の文脈で「資源(リソース)」について考えます。

ライバルよりいいものをどれだけ持っているか

ここは分かりやすく「比較」です。

ライバルより優れているのか劣るのか・・。

日頃観察しているならライバルの優れたリソース、逆にウチより劣るリソースの状況もある程度分かっているはずです。

「資源-競合」はこう考える!

「資源-競合(ライバルの文脈でリソースを考える)」とはこういうことです。これがちゃんと説明できればOKです。

【資源-競合】

ライバルより優れているのは(こんな)リソース

である。

「資源-競合」の主な論点「ライバルより優れているリソース」について

かなり優位にあるもの

ライバルと比較して優れている点、劣っている点いろいろあるかと思いますが、戦略のキーポイントを見つけ出すという意味では、「かなり優位」なものを考えたいです。

「競争力の源泉」になる程度には優位なものです。

カネでなんとかできるものじゃなくて

しかも、簡単にカネで何とか出来てしまう(カネさえ積まれたら優位性が消えてしまう)とか、真似されやすい・・とかではないものがいいですね。

「資源」について5つの文脈で考えたことを整理してみましょう

戦略要素「資源」について、5つの他の戦略要素の文脈で考えたことを整理してみます。

5つの文脈はこんなカンジでした。

  • 資源-WHAT:商品の価値を高めたり効率的な生産を可能にするのは(こんな)リソース
  • 資源-WHO:客や市場にアクセスするために機能するのは(こんな)リソース
  • 資源-HOW:上手い「売り方」を可能にしているのは(こんな)リソース
  • 資源-環境:環境変化に適応しているのは(こんな)リソース/適応できていないのは(こんな)リソース
  • 資源-競合:ライバルより優れているのは(こんな)リソース

どうでしょう。全て言えましたか?

ポイントになりそうなことを整理してみます

5つの文脈から「資源」のポイントになりそうなことを整理してみます。

  • 「企画・開発」や「生産」といった面でのリソースの機能
  • 「営業」「マーケティング」といった面でのリソースの機能
  • リソースの環境適応度合い
  • 以上について、ライバルと比較して優位なのか劣位なのか

「競争力」を高めるために「効いているリソース」は何か?ということですね。

「資源」の1次進化

戦略要素「資源」が1次進化するとどうなるでしょう。

競争力を持つには、ベースとなるリソースが有利をもたらすレベルにないといけません。

戦略要素「資源」は戦略要素「強み」に1次進化します

よく持ち出される「強み」ですが

「強みを活かして」とか戦略論ではよく言われることです。

「SWOT分析」でも必須の事項ですが、なかなか自社では分かりにくいかもしれません。

漠然と考えるより、「5つの文脈」で考えてみるとよいでしょう。

いろんな方向からバランスよく考えてみるってことですね!

次は戦略要素「環境」の話です。