事業環境の変化は何かを変える「きっかけ」として捉える【戦略魔法陣:戦略要素「事業への影響(環境)」の2次進化】
「戦略魔法陣ヘクストラグラム」の2次進化のお話しです。
今回は戦略要素「事業への影響(環境)」を、さらに2次進化させていくための検討事項を見ていきます。
狙いは
事業環境の変化を「よい方向に変えるきっかけ」として捉えること
です。
- 1. 戦略要素「環境」の「1次進化」おさらい
- 1.1. 戦略要素「環境」は「事業への影響」に1次進化
- 2. 戦略要素「事業への影響(環境)」の2次進化
- 2.1. 2次進化の目的は「優位性」の獲得
- 2.1.1. 戦略要素「環境」を「競争に勝てる」ように捉えるためには
- 2.1.2. 他の戦略要素との文脈で検討するのは1次進化のときと同じ
- 2.2. 「環境⇒事業への影響」と来たけど、次の進化の方向性は?
- 2.3. 「事業への影響(環境)」-「価値(WHAT)」:価値提供について適応すべき事業環境変化の影響は?
- 2.3.1. わが社の価値提供に変化をもたらす事業環境の影響
- 2.3.2. わが社の提供価値を変えていく機会となる事業環境変化の流れは?
- 2.4. 「事業への影響(環境)」-「ターゲット(WHO)」:客や市場に関連して
- 2.4.1. ターゲット顧客との関わり方に変化をもたらす事業環境の影響
- 2.4.2. 「ターゲット顧客との関係性強化・深化に関する事業環境の影響」とは?
- 2.4.2.1. 顧客自体も移ろい変わっている
- 2.4.2.2. 顧客との対話チャネルも広がっている
- 2.5. 「事業への影響(環境)」-「戦法(HOW)」:営業・流通面に変化をもたらす影響
- 2.5.1. 営業面・流通面に変化をもたらす事業環境の影響
- 2.5.2. 「営業面・流通面に変化を及ぼす事業環境の影響」に関する論点
- 2.5.2.1. 昔ながらの商流以外にもルートが増えている
- 2.6. 「事業への影響(環境)」-「強み(資源)」:リソースのあり方に変化をもたらす事業環境の影響は?
- 2.6.1. リソースのあり方に変化をもたらすとは?
- 2.6.2. 「『強み』に対して影響をもたらす事業環境の変化とは?」についての論点
- 2.6.2.1. 変化に追いつけないと・・
- 2.6.2.2. とにかく面倒くさがらずに
- 2.6.2.3. 対応が早ければ有利に働く
- 2.7. 「事業への影響(環境)」-「対抗軸(競合)」:ライバルの動向に影響を与える事業環境変化
- 2.7.1. これまでのライバル企業の捉え方に変更を加える必要はないか?
- 2.7.2. その環境の変化がライバルを強力にする
- 2.7.2.1. ライバルが増えることだってある
- 3. 「事業への影響(環境)」要素の2次進化
- 3.1. 「事業への影響(環境)」について5つの文脈での捉え方
- 3.2. 戦略要素「事業への影響(環境)」からの2次進化
戦略要素「環境」の「1次進化」おさらい
戦略要素「環境」についての1次進化、詳しくはこちらをご覧ください。
戦略要素「環境」は「事業への影響」に1次進化
戦略要素「環境」は、「自社にどんな影響が及ぶのか」という観点で捉えることで「事業への影響」に1次進化します。
事業環境分析というと例えば「PEST分析」なんかが思い浮かびますが、自社事業にどう関わるのかというと意外と難しいものです。
「自社への影響」までをちゃんと分かっていることが大事ですね。
戦略要素「事業への影響(環境)」の2次進化
「戦略魔法陣ヘクストラグラムの『2次進化』」の話に入ります。
2次進化の目的は「優位性」の獲得
1次進化は単に「戦える」「競争できる」というレベルで考えればよかったですが、2次進化では「競争に勝つ」「ライバルに対して優位に立つ」ことを意図した議論を進めます
もちろん「議論する」だけでなく「(議論検討した結果)必要とされる事項を備える」ことが出来てはじめて「2次進化レベルに達した」と言えるので、「出来ていなかったこと」「不足すること」に対処していくプランとその実行が必要になります。
戦略要素「環境」を「競争に勝てる」ように捉えるためには
事業環境に関する戦略要素「環境」は1次進化で「事業への影響」として把握されました。ステイタス要素である本要素は「競争に勝って行くためにはどのような捉え方をするべきか」という観点で検討していくことになります。
どういった検討をするのかを個々に見ていきましょう!
他の戦略要素との文脈で検討するのは1次進化のときと同じ
ヘクストラグラムでは戦略要素の「進化」のために「各要素を他の要素の文脈で考える」という作業を行います。2次進化でも同じです。
ただ、それぞれ1次進化済みの戦略要素で考えるので、より明快に具体的になっているはずです。
「環境⇒事業への影響」と来たけど、次の進化の方向性は?
日々「変わっていない」「変わらなくていい」業界なんてなかなかありませんよね。
「事業環境変化の影響」を捉えるというのは「どう変わっていくか」を考えるためにやっていると言ってもよいと思います。
事業環境が変わるということは、それまでの環境にアジャストしていた者としては多くの場合「厄介な」ことと感じるかもしれません。
仮に「追い風」になるような好ましいことが起きたとしても、多くの場合それは自社にだけではなく業界全体に(競合企業にも)影響しているので、ただ風を受けているだけでは相対的に見ればあまり変わらないということもあります。
「厄介だ」と言って手をこまねいているのではなく、いい風が吹いているのにただ受けているだけになるのではなく、「機を見て敏」に「的確に対応」していく、つまり「チャンスと捉えてやり方を変えていく」ことが大事です。
「事業への影響(環境)」-「価値(WHAT)」:価値提供について適応すべき事業環境変化の影響は?
わが社の価値提供に変化をもたらす事業環境の影響
より競争力を持つ価値提供のために「何かを変える」必要がありますが、その「きっかけ」となる事業環境の影響を考えてみます。
わが社の提供価値を変えていく機会となる事業環境変化の流れは?
付加価値を含むわが社の「提供価値」(平たく言うと「商品まわりのこと」)で「変えるべきこと」はないでしょうか。
「省エネ」や「コンパクト化」などのように商品自体の仕様を変える必要もありますし、そもそもその商品ラインナップは今のままでいいのか、時代に合ったものか?新しい展開は?統廃合は?などといろいろ考えないといけません。
「何を変えなきゃいけないか」は「どんな事業環境変化に対応するか」で決まってきます。
教科書的に・・というか一般的には「事業環境の変化に応じて ⇒ 商品や価値提供の改良・改変」を考えましょうとなりますが、実際はそれだけじゃなくて、「なんだか合わなくなってきた?⇒世の中がこう変わってきたからか!」という逆のパターンもあるはずです。
というか、そっちのほうが多くないでしょうか。
で、「こう変わってきたんだったら、こんな対応、あんなやり方・・」と事業展開の発想を拡げることにつながっていきます。
その変化への対応の優先度なども振り返ってみる必要があります。気付かないうちに周りが随分変わっていて取り残されそうになっているかもしれません。だったら、最優先でキャッチアップしないといけません。
・・というようなことを、一度落ち着いて考えてみることです。何も「事業環境がこう変わってきているから」と「上から」考えるだけでなく「商品回りで変えなきゃいけないこと」という「下から」の思考も併せてやってみてもよいと思います。
「事業への影響(環境)」-「ターゲット(WHO)」:客や市場に関連して
ターゲット顧客との関わり方に変化をもたらす事業環境の影響
「ターゲット顧客」の進化の方向性は「相愛顧客」つまり「顧客側からもわが社の商品や会社自体をもっと好きになってもらう」ことを目指します。
関係性を深めていくためにはこれまでのやり方だけでなく「何かを変えていく」「新しいやり方を試みる」必要があります。
対顧客活動に変化をもたらす事業環境の影響について考えてみます。
「ターゲット顧客との関係性強化・深化に関する事業環境の影響」とは?
顧客自体も移ろい変わっている
社会環境変化の影響を受けているのは企業だけではありません。顧客側影響を受けています。それによって、嗜好や購買行動、企業に対する姿勢や見方も変わってきています。
それらのうち、どの変化を重要視して対処していくかよく考えなくてはなりません。
さらに「より関係を深めたい=コアなターゲット顧客」自体も移り変わっているかもしれません。
顧客との対話チャネルも広がっている
ターゲット顧客とは関係性を深めたいわけですが、そのための対話についても機会やチャネルが増えていたりします。
メーカーも昔ながらの「問屋任せの販売」だけではダメですよね。
「事業への影響(環境)」-「戦法(HOW)」:営業・流通面に変化をもたらす影響
営業面・流通面に変化をもたらす事業環境の影響
事業環境の変化には「営業面」「流通面」に影響するものもあります。
「営業面・流通面に変化を及ぼす事業環境の影響」に関する論点
昔ながらの商流以外にもルートが増えている
メーカーから商社から小売へと、旧来のルート以外にもSPA(製造小売)やネット通販などがすっかり定着してきました。
一般消費者向けだけでなく、B2Bの取引もいろいろなやり方が検討されていますね。
かつて隆盛を誇った大規模小売などがその力を削られてしまい、営業面でも「力点」は当然に変ってきます。
「事業への影響(環境)」-「強み(資源)」:リソースのあり方に変化をもたらす事業環境の影響は?
リソースのあり方に変化をもたらすとは?
事業環境の変化がリソースの状況に影響を与えたりすることがあるでしょうか?
「『強み』に対して影響をもたらす事業環境の変化とは?」についての論点
変化に追いつけないと・・
まず思いつくのが「陳腐化」ですかね。メンテナンスやアップデートが出来ていないと「強み」だったものが陳腐化し模倣されその力を失ってしまいます。
設備のようなハードも、情報やノウハウといったソフトもどちらもです。
陳腐化や均一化をもたらすような事業環境変化には敏感に対応しないといけません。
とにかく面倒くさがらずに
これまでの事業環境に適応してきた仕組みややり方ですから、状況が変われば「不適応」を起こしてしまいます。「働き方」や「社会的な要請」など「めんどうくさい」ことが増えてきていますが、対応していないとタイヘンなことになったりします。
ほんま、気ぃ使うこと増えてるよな・・
対応が早ければ有利に働く
グローバル化やネットワーク化など、以前から言われていることですが、現在進行形でどんどん進展して行っています。
「組織」という重要なリソースが柔軟に対応できれば、有利なことには違いありません。
人材やシステムやノウハウといったあらゆるリソースが上手く対応できるか否かは「組織」が柔軟化どうかにかかっています。
まずは「組織のあり方」という観点で事業環境を眺めてみるのも一つのやり方です。そこから「より重要な事業環境の変化」と「その変化に対してリソースはどうあるべきか」が整理されるはずです。
「事業への影響(環境)」-「対抗軸(競合)」:ライバルの動向に影響を与える事業環境変化
これまでのライバル企業の捉え方に変更を加える必要はないか?
事業環境変化の影響はライバルにも及びます。
ライバル企業の捉え方を変える必要が出てくるかもしれません。
その環境の変化がライバルを強力にする
ライバルが弱体化する・・というなら歓迎すべきことですが、問題になるのは「ライバルにとって有利な環境変化」が起きている場合です。
そういった状況において、これまでのような「ウチはここで勝負する」という考えが通用するかどうかの確認は必要です。
ライバルがあまりに勢いづくようなら、一旦退避するといった判断も必要かもしれません。
そこまで極端でなくとも、何らか戦い方を変える必要が生じているなら要対策です。
ライバルが増えることだってある
事業環境の変化によって、これまでは歯牙にもかけていなかったような企業や場合によっては個人レベルの零細企業がわが社の「ライバル」として台頭してくるかもしれません。
個々に見るというより「状況」「流れ」として把握して対策を打って行く必要があります。
「事業への影響(環境)」要素の2次進化
今回の話をまとめてみます。
「事業への影響(環境)」について5つの文脈での捉え方
戦略要素「事業への影響(環境)」について、他の戦略要素の文脈で考えたことを整理してみます。
これらが備わっていれば「競争に勝てる」「優位に立てる」ものになっているはずです。
戦略要素「事業への影響(環境)」からの2次進化
ということで、戦略要素「事業への影響(環境)」は2次進化して「転機」になります。
事業環境の変化には良い影響をもたらすものもあれば、逆に困った状況をもたらすものもあります。
どちらかというと「困ったほう」「良くないほう」が多いと感じるのではないでしょうか。
人というのは元来変化を嫌う生き物です。人がつくった仕組みである企業も「昨日と同じ」「穏やかに変わらない」ことのほうがイイに決まっています。
でも、競争に勝っていくためには変化を受け入れなければなりません。むしろどんどんと変わっていけること自体が優位性につながります。
変わることを前提に、そのきっかけとなる事業環境変化の影響を良いほうも悪いほうもひっくるめて、「転機」として捉えることができれば、会社として強くなっていくはずです。